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2026年1月、あるクリエイターがnoteで「特定の人物に対してのみ、自身の創作物のコスプレを禁止する」という声明を発表し、SNS上で話題となりました。
この出来事をきっかけに、「そもそも創作者には特定の人にコスプレを禁止する権利があるのか?」「コスプレと著作権の関係はどうなっているのか?」という疑問が多く寄せられています。
この記事では、コスプレと著作権の関係について、法的な観点から解説します。
2026年1月29日、noteで活動するクリエイターが、自身の創作物について「特定の人物によるコスプレ表現の使用を禁止する」という声明を発表しました。
声明では以下の点が述べられています。
対象:当該クリエイターが制作・公開するすべての創作物(イラスト、文章、設定資料、キャラクター関連コンテンツ等)
禁止内容:特定人物によるコスプレ、および関連する写真・動画・配信・SNS投稿などの公開
理由:「昨今の情勢を鑑みた結果」「創作物の世界観保護、キャラクター表現の一貫性維持」
この声明に対して、SNS上では様々な反応がありました。
「創作者が自分の作品の使用について意思表示するのは当然の権利」
「特定の個人を名指しで禁止するのは珍しい対応」
「そもそもコスプレの対象となるような作品があるのか?」
特に多かったのは、「創作者には本当にそのような権利があるのか」という疑問でした。
コスプレと著作権の関係について、弁護士の見解を参考にまとめると以下のようになります。
コスプレが著作権侵害になるかどうかは、ケースバイケースで判断されます。
著作権侵害になりうる行為
著作物(キャラクターデザインなど)の複製権侵害
翻案権の侵害(二次元を三次元に立体化する行為)
公衆送信権の侵害(SNSへの投稿など)
上演権の侵害(イベントでの演技など)
侵害にならない可能性がある場合
私的使用の範囲内(個人的に楽しむ目的)
元の著作物と十分に類似していない場合
権利者が明示的または黙示的に許諾している場合
著作権法第30条では、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」を私的使用と定義しています。
私的使用の範囲内であれば、著作物の複製や翻案は認められます。ただし、以下の点に注意が必要です。
SNSへの投稿は私的使用の範囲を超える可能性が高い
イベントでの披露も私的使用とは言えない
営利目的の場合は私的使用に該当しない
法的には問題になりうるコスプレが、なぜ広く行われているのでしょうか。
その理由は主に以下の2点です。
1. 著作権侵害は原則として親告罪である
著作権侵害は、権利者が告訴しなければ処罰されません(著作権法第123条)。権利者が問題視しなければ、法的な問題は生じにくいのです。
2. 権利者と二次創作者の間の「暗黙の了解」
多くの権利者は、ファン活動としてのコスプレを黙認しています。コスプレが作品の宣伝になることもあり、権利者にとってもメリットがある場合が多いためです。
福井健策弁護士は、この状況を「一次創作者と二次創作者の間の『あうんの呼吸』」と表現しています。
創作者(著作権者)は、自身の著作物の利用について、許諾を与えるかどうかを決定する権利を持っています。
したがって、以下のことは法的に可能です。
自身の著作物のコスプレを全面的に禁止する
特定の条件下でのみコスプレを許可する
特定の人物に対してのみ禁止する
ただし、これには重要な前提条件があります。
著作権は「著作物」に対して発生します。著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」です(著作権法第2条)。
つまり、コスプレの対象となりうる「創作的なキャラクターデザイン」などが存在しなければ、そもそも著作権を主張することはできません。
今回の件でSNS上から疑問の声が上がったのは、まさにこの点でした。「コスプレの対象となるような作品(キャラクター)が存在するのか?」という疑問です。
仮に著作権が認められる作品が存在したとしても、特定人物への禁止令には実効性の問題があります。
コスプレをしていることをどうやって把握するのか
違反した場合にどのような措置を取るのか
訴訟を起こす場合、損害をどう立証するのか
これらの点から、特定人物への禁止令は「意思表明」としての意味合いが強いと考えられます。
近年、多くの権利者が二次創作やコスプレに関するガイドラインを公開しています。
ガイドラインでは、以下のような点が明示されることが多いです。
営利目的での使用の可否
SNSへの投稿の可否
禁止される表現(成人向けなど)
クレジット表記の要否
ガイドラインが公開されていれば、コスプレイヤーは安心して活動することができます。
ガイドラインが存在しない場合、コスプレイヤーは「暗黙の了解」に頼ることになります。
この場合、以下のような配慮が推奨されます。
営利目的での使用は避ける
権利者のイメージを損なう表現は避ける
問題が指摘された場合は速やかに対応する
今回の「特定人物へのコスプレ禁止」という事例は、以下のことを示しています。
権利者は自身の著作物の使用について意思表示する権利がある
ただし、その権利を行使するには著作物の存在が前提となる
特定人物への禁止は珍しい対応であり、様々な解釈を呼ぶ
法的なトラブルを避けるため、以下の点を心がけることが推奨されます。
ガイドラインの確認:権利者が公開しているガイドラインがあれば、必ず確認する
営利目的は慎重に:お金が絡む活動(有料撮影会、商品販売など)は特に注意が必要
権利者への敬意:元作品やキャラクターへの愛情を持ち、権利者のイメージを損なわない
問題が指摘されたら対応する:権利者から指摘があった場合は、誠実に対応する
権利者の側も、以下の点を意識することが望ましいでしょう。
ガイドラインの公開:二次創作やコスプレに関する方針を明確にする
ファンとの関係性:コスプレ文化がファン活動の一環であることを理解する
一貫した対応:特定の人物だけを禁止するなど、不公平な対応は批判を招く可能性がある
今回の「特定人物へのコスプレ禁止」という事例は、コスプレと著作権の関係について改めて考えるきっかけとなりました。
ポイントをまとめると以下の通りです。
創作者(著作権者)は、自身の著作物の使用について許諾を決定する権利を持つ
ただし、その権利を行使するには「著作物」が存在することが前提
コスプレと著作権の関係はグレーゾーンが多く、権利者と二次創作者の「暗黙の了解」で成り立っている部分が大きい
トラブルを避けるためには、ガイドラインの確認と権利者への敬意が重要
コスプレ文化は、権利者とファンの相互理解によって発展してきました。今後も健全な形で文化が継続されることを願います。
A. 一概には言えません。私的使用の範囲内であれば問題ありませんが、SNSへの投稿や営利目的の活動は、法的には著作権侵害となる可能性があります。ただし、著作権侵害は親告罪であるため、権利者が問題視しなければ法的な問題は生じにくいのが現状です。
A. 権利者が明確に禁止した場合は、その意思を尊重することが推奨されます。法的にも、権利者の許諾なく著作物を利用することは、著作権侵害となる可能性があります。
A. ガイドラインがない場合、「暗黙の了解」の範囲内で活動することになります。営利目的を避け、権利者のイメージを損なわないよう配慮することが望ましいでしょう。
A. 法的には、著作権者は誰に許諾を与えるかを自由に決定できます。ただし、そのような対応が社会的に妥当かどうかは別の問題であり、批判を招く可能性もあります。
この記事は2026年1月30日時点の情報に基づいて作成されています。法的な判断については、専門家にご相談ください。






