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2026年2月25日、九州から東北にかけて広い範囲でまとまった雨が降りました。東京都心では昨年11月9日以来、実に108日ぶりに10mm以上の雨を観測。長らく続いていた記録的な少雨に苦しんでいた各地にとって、待ちに待った「恵みの雨」となりました。
しかし、気になるのは「この雨で水不足は解消されるのか?」「ダムは満水に戻るのか?」という点です。結論から言えば、残念ながら今回の雨だけでは水不足の完全な解消には至りません。この記事では、2月25日の雨の実態と今後の見通しについて、最新のデータをもとに詳しくお伝えします。
今回の水不足は、一朝一夕で起きたものではありません。2025年の秋ごろから太平洋側を中心に降水量が極端に少ない状態が続いていました。
気象庁の異常気象情報センターは、この少雨について「30年に1度程度の顕著な少雨」と発表しています。特に2026年1月は深刻で、名古屋・神戸・京都・岡山・大分・宮崎などでは統計開始以来初めて月間降水量が0.0mmを記録するという前代未聞の事態となりました。東京都心も1月の降水量がわずか7.5mmで、平年比約13%にとどまりました。
この記録的な少雨の背景には、いくつかの要因が重なっています。
まず、冬型の気圧配置が長続きしなかったこと。さらに、南からの湿った空気を運ぶ南岸低気圧の通過も極端に少なかったことが挙げられます。太平洋高気圧の勢力が冬場でも衰えず、雨雲を日本列島に近づけない状態が1か月以上にわたって固定化されてしまいました。
加えて深刻なのが「積雪の欠如」です。通常、冬に山間部に積もった雪は春に溶け出してダムの貯水池を潤す、いわば「白いダム」の役割を果たします。しかし、2025〜2026年の冬は記録的な暖冬だったため、山間部の積雪がほとんどなく、春先に雪解け水によるダムの自然回復が見込めない状況です。
2月25日の雨が降る直前、各地のダム貯水率は危機的な状況にありました。
東京・小河内ダムは、都民の生活用水を支える「東京のみずがめ」と呼ばれる重要なダムです。2月13日時点で貯水率は約40.8%。平年の6割程度しかなく、水位は平年より20メートル以上も低下していました。貯水量は平成以降の最低値を下回り、東京都は都民に対して節水を呼びかけていました。
神奈川・城山ダムの貯水率はわずか約12%。神奈川県全体の貯水率も平年の半分程度にまで落ち込んでいました。
愛知・宇連ダムは特に深刻で、2月16日時点の貯水率はわずか3.5%。豊川用水全体でも総貯水率が13.3%にとどまり、3月中旬にはダムが枯渇するおそれがあるとされていました。2月10日からは農業用水40%、水道用水20%、工業用水40%という厳しい節水対策が実施されています。
高知・大渡ダムでは貯水率が一時3%という壊滅的な数字を記録し、28年ぶりとなる給水制限が実施されました。
国土交通省の渇水情報ポータルによると、2月24日時点で中部・近畿・四国・九州の4つの地方整備局に渇水対策本部が設置されており、事態の深刻さがうかがえます。
2月25日は、低気圧や前線の影響で九州から東北にかけて広い範囲で雨が降りました。特に太平洋側では激しい雨や雷雨となった地域もあります。
具体的な降水量を見ると、長崎県西海市や佐世保市、高知市、高知県黒潮町、佐賀県伊万里市などでは24時間雨量が100mm以上を記録。鹿児島県南さつま市では1時間に44.0mmの激しい雨を観測しています。
広い範囲で30〜50mm前後の総降水量が予想されており、前回(2月10〜11日)の雨を上回る降水量となっています。
東京都心でも108日ぶりに10mm以上の雨を観測し、水戸市でも62日ぶりに10mm以上の雨となりました。
では本題の「水不足は解消されるのか」という点ですが、専門家や気象予報士の見解は「恵みの雨ではあるが、一気に解消するほどの量ではない」というものです。
気象予報士の松浦悠真氏はYahoo!ニュースの解説記事で、「太平洋側の水不足が一気に解消するほどの雨量ではないが、恵みの雨はたびたび降りそう」と分析しています。
ウェザーニュースも、「先週はまとまった雨があったものの、太平洋側の少雨傾向はまだ解消に至っていない」と指摘しつつ、今回の雨については渇水地域にとって前回以上の恵みとなりそうだとしています。
ここには大きく3つの理由があります。
1. 乾燥しきった地面が雨を吸い込んでしまう
長期間雨が降っていなかった地面は極度に乾燥しています。雨が降っても、まず地面がその水分を吸い込んでしまうため、ダムの上流の河川にまで十分な水が流れ込みません。ダムの貯水率を大きく回復させるためには、ダムの集水域に相当量の雨が長時間にわたって降る必要があります。
2. 不足している水の量が膨大
数か月にわたって降水量が平年の10〜30%程度しかなかった分の「借金」を、1日や2日の雨で返済することは物理的に不可能です。特に宇連ダムのように貯水率が一桁台まで落ち込んだダムでは、満水に戻すには相当長期間にわたるまとまった降雨が必要です。
3. 雪解け水が期待できない
例年であれば、3月以降に山間部の積雪が溶け出してダムの水位を押し上げます。しかし今年は暖冬により積雪がほぼなく、この「春の自然回復」が見込めません。これが今回の渇水を特に深刻にしている要因の一つです。
幸いなことに、この先は短い周期で天気が崩れる見込みです。
日本気象協会(tenki.jp)の2週間天気予報によると、2月25日の雨の後、26日はいったん晴れますが、27日から28日にかけて再び広い範囲で雨が降る予想です。その後も3月にかけて周期的に雨が降る見通しで、渇水地域にとっては断続的に恵みの雨が期待できそうです。
また、1か月予報では「少雨はやや解消か」という見通しも出ており、今後は天気のパターンが少しずつ変わっていく可能性があります。
ただし、水資源の専門家は「3月にかけても、ダムの水位を劇的に回復させるほどのまとまった雨は期待薄」という厳しい見方を示しています。数日おきに降る程度の雨では、乾燥しきった地面に吸い込まれてダムまで十分な量が流れ着かないためです。
今回の雨は確かに恵みの雨ですが、水不足の完全な解消にはまだ時間がかかります。引き続き、一人ひとりの節水意識が重要です。
家庭でできる効果的な節水対策としては、以下のようなものがあります。
- お風呂の残り湯を洗濯や掃除に活用する
- シャワーの時間を1分短縮するだけで、1家庭あたり1日数十リットルの節水に
- 食器洗いの際は「ため洗い」を徹底する
- トイレは大小のレバーを使い分ける
- 洗濯はまとめ洗いで回数を減らす
特に水の使用量が多いのは「風呂・トイレ・炊事」の3つ。この3つを意識するだけでも大きな効果が期待できます。
2026年2月25日の雨は、記録的な少雨に苦しんでいた各地にとって待望の恵みの雨となりました。しかし、この1回の雨だけで水不足が完全に解消されたり、ダムが満水になったりすることはありません。
ポイントを整理すると以下のとおりです。
- 2025年秋から続く「30年に1度」の記録的少雨により、全国各地のダム貯水率が危機的水準に低下
- 2月25日は九州〜東北で広くまとまった雨が降り、東京都心では108日ぶりに10mm以上の降水を観測
- ただし「水不足が一気に解消するほどの雨量ではない」というのが専門家の一致した見解
- 今後は短い周期で天気が崩れる見通しで、断続的な恵みの雨に期待
- 引き続き一人ひとりの節水意識が大切
水不足の解消には、まだしばらくの時間とまとまった降雨が必要です。今後の気象情報やダムの貯水状況に注意しながら、日々の生活の中でできる節水に取り組んでいきましょう。







